Column
Our Roots

 7 June, 2020    Tangled Up in Blue / Bob Dylan
 
 
 2か月を超える巣ごもり生活の中、新しいBob Dylanの詩集が届いた。
 
 『THE LYRICS 1961−1973』
 『THE LYRICS 1974−2012』
 
米文学者の佐藤良明氏の390曲に及ぶ新訳は、片桐ユズル訳が染みついた頑固なオールドファンにとっても、淀んだ日常に色彩を取り戻す嬉しいプレゼントだった。
佐藤氏のアプローチは、日本語訳を読みながら原曲のリズムを感じることができ、とても味わい深い。 ただ21世紀のページまで読み進むのは、まだもう少し時間が必要なようだ。
 
 
 
 
 
 我々の生活を異質なものに変えてしまったウイルスが確認される数か月前、中国に行く機会があった。上海・泰州と12日間の滞在であったが、中2日間の休日を利用して上海の黄浦江東岸をジョギングをすることができた。その時、偶然にも上海モダンアートミュージアムで "BOB DYLAN RETROSPECTRUM"が開催されているのを見つけ、ランニングウェアのまま立ち寄ってみた。
 異国の地で、"上海レディオキッズ"と一緒に、Dylan の曲をバックに彼の250以上のアートワークを鑑賞するのは、まったく特別な体験だった。なかでも、アメリカ中西部の風景画を集めたスライドと"Tangled Up in Blue" の歌声が混ざり合い、時の流れが止まったように感じた瞬間が今でも忘れられない。
(MG)
 
   だから俺は戻っていく
 
   どうにかして彼女のもとへ
 
   過去に知り合った人たちは
 
   いまやみんな幻でしかない
 
   数学者になったひと
 
   大工の妻になったひと
 
   ひとの人生 事の次第もわからない
 
   みんなどうやって始末をつけるんだろう
 
   俺はといえば いまも路上で
 
   これから、別のどこかへ向かう
 
   俺たちはいつも、同じことを感じながら
 
   別な角度で見ていただけさ
 
   憂鬱(ブルー)とからみあいながら
 
 
 ブルーにからまって(Tangled up in blue)
 佐藤良明訳
 
 
 


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