Column
Our Roots

 30 April,2015    On Air -Live at the BBC / The Beatles

 
 2015年4月、約束どおりPaul McCartney がやってきた。今月はやはりその話題を書かざるを得ないだろう。昨年5月のライブ中止から1年が過ぎても、初日の京セラドーム無事終了の情報があるまで、「こんどは本当に大丈夫なのか?」という空気が漂っていた。昨年中止後の悔しさ滲む御茶ノ水ビアホール〜カラオケボックスがとても印象的だったので、「今年もまたそのパターンでも悪くない」など不謹慎な事を少しだけ思っていた。
 
 4月25日東京ドーム。一緒にBeatlesのバンドをやっていた中学時代からの友人が引き当てたチケットはアリーナの10列目! Paul McCartney はすぐ目の前のステージ上にいるのだ!全37曲(最後のメドレーを分けると39曲)、生涯2度とないかもしれないプレミアムシートで驚異的な72歳のパフォーマンスに酔いしれた夜だった。
 友人を含め多くの人達がPaulのステージを楽しみ、それぞれ特別な感動を胸に抱いている中、あまり今回のステージを振り返るのはやめておこう。
 
 Beatles との出会いについて、はっきりした記憶はない。幼少時代、気が付くと我が家には『映画「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」(サウンド・トラック盤)』(国内オデオン盤)があり、『ヘイジュード/レボリューション』『ゲットバック/ドント・レット・ミー・ダウン』の国内シングル盤も姉が持っていた。TBSの「ザ・モンキーズ・ショー」、『青空にとび出せ!(ピンキーとキラーズ)』の記憶と重なっているので、1969年くらいだろうか?その時期から45年、メジャーデビューから50年以上たっても彼らの作品の魅力は色褪せる事はない。
 
 2013年11月、Paulのニューアルバム"NEW"と同じタイミングで、Beatlesの "On Air -Live at the BBC Vol.2" がリリースされた。BBCで放送された一発録りスタジオライブのこのシリーズ、Vol.1も含めてBeatlesのバンドとしての底力には新鮮な驚きがある。Beatlesはハンブルク巡業で鍛えた百戦錬磨のライブバンドなのだ。そして彼ら自身が演奏を心底楽しんでいる雰囲気が伝わってくる。オリジナル曲生演奏の完成度の高さもいいが、特にこのアルバムでしか聞けない John の Chuck Berry、Paul の Little Richard、George の Carl Perkins など、これぞマージー・ビートといった感じの Rock’n Roll ナンバーの荒々しい演奏が大好きだ。
 Beatlesは1966年、Revolverリリース直後ライブ活動を停止する。 その後ライブ再開を提案したのはPaulだったが、結局他の3人の反対にあい、アップル社ビルでのルーフトップセッションを行っただけで解散。そしてJohnとGerogeの他界で、我々はBeatlesとしてのライブを経験する機会は永遠に失われたかに思えた。
 
 Paul がステージで"Sgt. Peppers"や"Abbey Road" の曲を原曲に忠実に演奏するの聴きながら、彼は本当にバンドでのライブが好きなんだと思う。4人揃ったステージを見る事は叶わないが、"Being for the Benefit of Mr. Kite" "Something" までも演奏するライブをPaulが続けてくれている。Beatlesの生き残りとして、素晴らしい作品を世代を超えて伝えていく使命感が彼にエネルギーを与えているのかもしれない。
 
(MG)
 
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