Column
Our Roots


 30 October,2012    Redemption song / Bob Marley
 
 今年はジャマイカ独立50周年。1962年8月、カリブ海のイギリス領植民地の国からなる「西インド連邦」より、ジャマイカは独立を勝ち取った。独立後のジャマイカは、アメリカとキューバの狭間の政治的な混乱と経済的に厳しい状態が長く続いたが、その中貧困に喘ぐ人々の中から、スカ、ロックステディそしてレゲエが育っていく。
 
数週間前、週末の予定がキャンセルになり久しぶりに映画を見に行った。ジャマイカ独立50周年記念作品、「Bob Marley の ROOTS OF LEGEND」が都内の最終上演日で、会社帰りに新宿に寄り道することにしたのだった。 映画はBob Marley の生涯を、当時の映像やインタビューで綴るドキュメンタリー。伝説のイベントや今まで目にした事のなかったBob Marleyの素顔が曲とともに多く盛り込まれ、とても感慨深い映画だった。
 
中でも印象的だったのは、Bob Marley が2大政党の抗争に巻き込まれて銃撃され、負傷してしまった2年後の78年、ワン・ラブ・ピースコンサートのシーン。彼は "Jammin" を歌いながら、血で血を洗う対立をしていた当時の2大政党の党首2人を握手させる。ジャマイカ史に残るエピソードだが、実際の画面は本当に感動的だ。また、映画はBob Marleyの意外なほど人間的な側面が多く登場する。特に軽やかなサッカーのボールさばきには驚かされた。
 
高校時代、初めて聴いたレゲエは、恐らく Rolling Stonesの “ CHERRY OH BABY “だったと思う。収録されている76年発表のアルバム ”Black and Blue“ が、ファンキーな曲などバラエティにとんだアルバムだったので、MGにとってレゲエは違和感なく受け入れることができた。
しばらくして Bob Marleyの”Concrete Jungle” ”400 Years“ をFMで聴き、スカスカのリズムの間に地を這うベースが鳴り響くメッセージソングに惹かれてしまう。また、75年ロンドン公演のライブ"No woman no cry" との出会いは、MGの音楽観を変えてしまうほどのインパクトがあった。ただ、レゲエの事を語り合う友人などは周りにいなかったからか(無理やりOGにBob Marleyのテープを聞かせていた?)、その時の前後関係の記憶が今では曖昧になっている。時期は覚えていないが、高校の授業をさぼって、Jimmy Cliffの映画 ”Harder they come” を見に行ったりしていた。レゲエに対する興味は、その後それほど広がることはなかったが、Bob Marley とJimmy Cliffには特別な思いがあり、今でも何曲かは必ずPlay Listにいれこんで、いつでも聴けるようにしている。
 
Bob Marleyは、79年4月に一度だけ来日している。MGは当時高校2年生だったが、そのステージは強烈な印象が残っている。その後のロックのコンサートでも感じた事がない、神がかった崇高な精神性を感じたライブだった。また、Bob Marleyの独特のダンスが驚くほど激しかったことを覚えている。
78年来日時、Bob Marley の体調は万全ではなかった。彼を死に至らしめた足のメラノーマは77年には発覚しており、来日時は既に彼の体を蝕んでいた。(足の切断を勧められたが、ステージでダンスができない事を理由に断っている。)
来日から3年後の81年5月、既に全身に転移していたメラノーマからの癌により、Bob Marley は36歳の生涯を閉じた。
 
 
Redemption Songは、80年発表の最後のアルバム” Up Rising“ 収録されている、まさしく最後の祈りのようなバラード。曲の中に歌われている、“Have no fear for atomic energy. Cause none of them can stop the time”の一節は、まるで今の日本に対するメッセージのようだ。
この曲を聴いていると、スペイン、イギリスの植民地時代から独立後50年の現在まで至る、ジャマイカの人々の苦悩を思う。そして最後が近づいた時のBob Marleyの未来への願いが込められた救いがある。
 
 
Old pirates yes they rob I
Sold I to the merchant ships
Minutes after they took I
From the bottomless pit
But my hand was made strong
By the hand of the almighty
We forward in this generation
Triumphantly
 
All I ever had, is songs of freedom
Won't you help to sing, these songs of freedom
Cause all I ever had, redemption songs
Redemption song
 
 
Redemption songは、昨年2011年に「音楽や芸術を通じて貧しい国の子どもたちに教育の機会を提供する支援団体」"Playing For Change"にも取り上げられた。その中では、Bob Marleyと息子のStephan Marley が画像の中で競演している。曲は津軽三味線から始まり、世界中のミュージシャンが歌いつなぐ感動的な作品となっている。
そのメッセージは永遠に心に残り、"Redempton song" 「贖罪の歌」 は、これからもいつまでも多くの人に歌いつがれていくだろう。 (MG)
 


 
 


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