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Our Roots

 30 April, 2019    Recital d'orgue / Notre Dame de Paris (Johann Vexo)
 
 
  4月15日ノートルダム大聖堂の屋根が炎に包まれ尖塔が崩れ落ちた。 パリ市民の喪失感とは比べものにならないが、1万キロ離れた島国の非キリスト教徒にとっても、その特別な場所が失われた映像に心が痛んだ。
 
2016年以来3年ぶりの欧州出張、3月16日ロンドンからユーロスターでパリに入った。いつも予約していたサン・ラザール駅近くのホテルが満室で、今年はMercure Paris Notre Dameに宿泊した。ホテルはノートルダム大聖堂まで徒歩5分、3月24日までの9日間その美しい尖塔を毎日眺めていた。その大聖堂には特別な空気が存在しており、パリ滞在時には必ず立ち寄ることにしていた。
 
今回はすぐそばに宿泊していることもあり、土曜日夜のミサや平日夜20時半からのオルガンコンサートなど何度も足を運んだ。ノートルダム大聖堂のオルガンコンサートを聴くのは2回目になる。大聖堂に響き渡るパイプオルガンの音色は厳かで神々しい。
 
PROGRAMME (19 MARS 2019 - 20H30)
1. Johann Sebastian BACH (1685 - 1750)
- Ricercare a 6, extrait de l’Offrande musicale (BWV 1079/5)
2. Girolamo FRESCOBALDI (1583 - 1643)
- Canzona terza, extrait de Il Secondo Libro di Toccate
3. Johann Sebastian BACH
- Fugue en si mineur, sur un the?me de A. Corelli (BWV 579)
4. Girolamo FRESCOBALDI
- Toccata quinta, extrait de Il Secondo Libro di Toccate
5. A. VIVALDI / J.S. BACH (1678 - 1741) / (1685 - 1750)
- Concerto en re mineur, Allegro - Grave - Fuga - Largo e spiccato - Allegro (BWV 596)
6. Giovanni GABRIELI (1557 - 1612)
- Ricercar dell'ottavo tono (C215)
7. Johann Sebastian BACH
- Canzone en re mineur (BWV 588)
8. Tarquinio MERULA (1595 - 1665)
- Capriccio cromatico
9. Johann Sebastian BACH
- Toccata, adagio et fugue en ut majeur (BWV 564)
 

 
ノートルダム大聖堂は現在の西洋音楽が形成された場所と考えられている。天井に木材を使用し石堂のエコーが失われた巨大な空間に「入堂聖歌」を響かせる試行錯誤の中で「ド」「ミ」「ソ」の和音が誕生したと言われている。パイプオルガンの音が鳴り響くその空間そのものに音楽の歴史が刻まれており、立ち寄る異教徒をも魅了するのだった。
 
ノートルダム大聖堂は世界中から支援が集まり復旧に向けて動き出している。パイプオルガンも奇跡的に生き残ったとの報道があった。やがて大聖堂の尖塔が復活し、パリの街に新しい鐘の音が響き渡る日がやってくるに違いない。
(MG)


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