Column
Our Roots


 31 March,2012    Live at Budokan / Bob Dylan
 
 Bob Dylan とMG は30年以上の付き合いになる。恋したり別れたり、突き放したり惚れ直したりしながら、今でも特別な存在になっている。
 
初めての出会いは中学生だった77年くらいか?中学時代はBeatlesに明け暮れていたのだが、Bob Dylanに興味を持ったのはFM の特集がきっかけだったと思う。それは76年発表のアルバム"Desire"の"Hurricane"だったのだろうか?生ギターをじゃかじゃか弾きながら言葉を叩きつけるように歌うそのスタイルは、今まで聴いた事のない種類の音楽だった。それから"Like A Rolling Stone"に衝撃を受けたり、65年のニューポート・フォーク・フェスティバルの伝説に胸を躍らせたりしていた。
 
そんな中、市立C高校への進学が決まって、新しい生活に期待と不安が入り混じり、なんとなく落ち着かなくなっていた頃、78年の3月4日Bob Dylanの初来日を武道館で目撃することになる。当時マスコミは60年代の伝説のプロテストシンガーの初来日として結構騒いでいて、NHKも村上龍を起用した特集をやったりしていた。
その時は、なんといっても生まれてはじめての武道館のスケールの大きさに圧倒された。ステージまではるか遠く、豆粒のような白いスーツ姿のDylan を懸命にオペラグラスで追いかけていた。その場ではだいぶ舞い上がっていて、肝心の音楽は冷静に聴けてなかったような気がする。「ここにいれるのはすごいことだ!」といった感じだったのだろう・・・・
 
その後リリースされたアルバム"Live at Budokan" は、購入して以来ほとんど聴いていない。おとなしい上品なパフォーマンスのせいもあるが、たぶん78年3月のあの夜と全く別なものに聞こえてしまうからかもしれない。それは、高校進学直前の独特な空気の中、大きな玉ねぎの下で感じた、ちょっと背伸びした夜の特別な感情だった気がする。
(MG)



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